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友人の前で蜩(ひぐらし)を蜆(しじみ)と読んでしまって小さい恥をかくが、実はこういう小さい恥って恥ずかしさの度合いは結構でかいと思う。
今、この本が物凄く気になってるんですが、買おうか買うまいか。
『念力家族』*1という短歌集なんですが、少し調べてみた限り中々ナイスっぽいです。どうやら宇宙ヤングであり非常にスペイシーでSFでオカルトで笑える内容っぽい。
ネットでいくつか落ちていたので少し引用。
ゆらゆらと水を花壇にはこびゆく少女が消えて秘密めく夏
この抒情はただごとではないです。太陽が花壇に照り付けて世界が真っ白になった小学生のあの日。夏の暑さに覚えた眩暈なのか白昼夢なのか。あぁ堪えられぬ。次
あの夏の石段の上僕の背を押した少女よ どうしてますか
うわぁ、これはゴシックホラーですよ。殺されかけてますが少年の夏の思い出にしてしまってるところがもう値千金。次
入学式のひかりに満ちた校庭の誰も時空を逃れられない
時空、なんて古き良きハードSFのような用語を使っておいてこの感覚。もう「あ、そうか時空か」としか言えない。あの光景を表現するのに時空なんてことばがこんなに有効だとは。ブラッドベリの『火星年代記』を読んでもわかるようにSFは昔から切なかったのですよ。次
「ドラえもんがどこかにいる!」と子供らのさざめく車内に大山のぶ代
少年時友と作りし秘密基地ふと訪ぬれば友が住みおり
雷に打たれし教師スギモトが「われは仏陀!」と叫ぶ夏の日
空き地にて巨大な箱から出で来る平賀源内と名乗る男
爆笑。特に最後のヤツなんか、一読して笑えるインパクトの上に、少し考えると出てきたのがタイムマシンでやっててきた本物なのかただのキチガイなのか、非常に味わい深いです。本物だとしてもキチガイ扱いされるんだろうな、という勝手に深読みして悲しくなることもできるなんて。嗚呼素晴らしい。最後に一首
落ちてくる黒板消しを宙に止め3年C組念力先生
うーん…これは…買い…かな…?