最近友人に『死霊のはらわたⅢ キャプテンスーパーマーケット』*1のビデオをプレゼントして頂きました。相変わらずバカで面白い映画ですが、もうこれで5回くらい見たんじゃねぇか。一番回数見た映画がキャプテンスーパーマーケットとかどうなんだろうと少し思います。二番目が『鴛鴦歌合戦』なのもどうなんだろうと思います。が、鴛鴦歌合戦は大大大傑作だからみんな見れ。
それはそれとしてまた溜まってしまいました。サックリ行きます。
 

  • ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』1968米 監督:ジョージ・A・ロメロASIN:B000BM400S
    • この映画はヴァージョンが色々あるらしく、オリジナル・1998年版・最終版なんてのがあるらしいですが、見たのは1998年版です。1990年にトム・サヴィーニ*2がリメイクしてるらしいですが、未見。あんま見る気もないです。
    • もう古典だし、スリルとかショックというのはそんなに味わえないんですが、不気味感は上等に味わえます。最初は特にでかい前フリがあってゾンビが出てくるわけじゃないので、あれよあれよという間にゾンビさんのご登場に相成ります、が、むしろゾンビのショックよりゾンビに囲まれた人間達の心理劇に重点を起いている印象。ゾンビよりむしろ人間の不協和音が不気味感を際立たせる演出は見事です。出てくる人間が殆どむかつく、というのも非常に素敵。
    • しかしまぁホラー映画の文脈を抑えるならかなり重要な一本、とホラー映画全然知らないのに断言しますが、ちょっと調べたらゾンビが人肉を食ったのはこの映画が最初らしいです。そして、クローズな舞台(野原の一軒家)・愛する者がクリーチャーに(これはいささかあっさりし気味)、仲間割れ、皮肉なラスト、といったホラーの王道!現代の風潮から見ると地味ではあるものの、うーんマーベラス
    • まあでも正直に言うと主要人物の心理劇見てるより、政府とか自衛市民のゾンビハント隊を見てる方が楽しい。

 

  • バルテュス』1996英 監督:マーク・カイデル ASIN:B00005H5QW
    • 最近バルテュスの未亡人、節子夫人が似非マダムどもに人気らしいですが、アレですね。全然関係ないですけど、結構前から流行ってるセレブってアレ、バカじゃねぇの?とか思います。ブランドもんつけてシャキッとした格好したら生活費削っててもセレブかよ。ふざけんじゃねぇよ。ほんと、そのプチブル根性に腹が立つというよりプチブルの盛大な"プチ"っぷりに腹が立つ。スケールが小さいんだよスケールが。何がストリートセレブのマストなアイテムだ。セレブがストリートに居たらダメじゃねぇか。このなんとも言えぬ小市民感というか、ホント情けない。お前ら脳味噌足りてんのか?そもそも日本は真のブルジョワの方々が、小市民の嫉妬が怖いのかコソコソ隠れて前面に出てこないのがイカン。もっと出てきて我々中産階級を絶望させるような圧倒的な富を見せ付けてくれないと困る。そうすりゃセレブとか言って気取ってる奴らの意識も変わってくるというか、あくまでもセレブのおままごとをしてる事に気づくはずだ!出でよブルジョワ!泰平の眠りから覚めるのじゃ!でもいくら金持ってるからといって庄屋根性の抜けない田舎者の地主とかはお呼びじゃないです。
    • 失敬、取り乱しました。
    • えー、バルテュスの語りとインタビューに絵とか生い立ちを挿入していくオーソドックスな作りのドキュメンタリーです。ていうかNHKとかで見るような映像に構成で非常にベタやなぁと思ってたんですが、どうやらBBCで放送したものらしく、ベタなのも首肯できます。実はバルテュス自体にそんな興味があるわけではないのですが、勝新が出ているというので見ました。いやしかし、勝新バルテュスの間にある静寂な威圧と緊張はホント、見ているこちらまで緊張させられる感じでとても良かったですが、あとは凡庸でした。

 

  • 兵隊やくざ』1965日 監督:増村保造 ASIN:B0009GXJKI
    • ザザン!というわけで続けて勝新太郎の軍隊ものです。座頭市シリーズとかの時はそんなに強調してなかったですが、いやホントに勝新はすごいです。増村保造も確かに凄いが勝新はとてつもなく凄い。そのやんちゃ坊の面影もある強面から発散される生命力に裏打ちされた説得力は、他の追随を全く許さない完全にオンリーワンの存在と言えるでしょう。勝新の前にスターなく勝新の後にスターなし!
    • で、この映画自体もよくできていて、中国の奥地の部隊に配属された鼻つまみ者の不良二等兵大宮(勝新)が、兵隊としては落ちこぼれだが骨のあるインテリ古参兵有田(田村高廣)に目をかけられ慕うようになり、軍隊の陰湿な慣習をぶち破る大暴れをしてやがて脱獄するという粗筋なのですが、イヤイヤホント、暴れ者(大宮)と舵取り役(有田)というコンビの黄金パターンが大成功で、有田のキャラがまた「俺の上司もこんな上司ならいいのに!」とサラリーマン諸君に思わせるようなフトコロの広い役柄でいい味出しておりました。このコンビのおかげでとてつもなく痛快で娯楽の王道な、かつ反戦映画に仕上がってます。日本という国は戦中の戦意高揚国策映画ですらアメリカ人には反戦映画にしか見えない物を作っていた国民で、そういう土壌があるから戦争を娯楽にしつつ反戦のメッセージを込めて無理のないものが出来るんでしょうね。
    • やたら暴力シーンが多い割には、増村節なのかあんまり映像があんまりアップにならないので、そのお陰か非常にスマートにサラッと見れます。映ってるモノはもう土とホコリと汗と血なんですけどね。あと戦争映画ですが、敵との戦闘シーンとかはなくて、部隊内でのイザコザでボコったりボコられたり鉄拳制裁したりされたり「工兵のビンタは歩兵のビンタとは違うぞ!」なのでエグいのが苦手な方にもお勧めします。

*1:ASIN:B0000AFOMF

*2:Q・タランティーノとR・ロドリゲスの素敵な素敵なバカ映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』に"セックスマシーン"という役名でチンコに銃くっつけて乱射してたオッサンです。本職はホラー系のメイクの人。僕はそんなによく知らないんですが友達がファンなのでなんか覚えた