昨日寝る前に見たやつ含む。ビッグマグナム黒岩効果が続いているのか最近は当たりが多い。今回はフランス映画二本が当たり。

  • バンデットQ』1981英 監督:テリー・ギリアム ASIN:B00005R22S
    • ウヒャア、モンティ・パイソンくさいブラックコメディーファンタジー。神をいじってるあたりが実にモンティ・パイソン。レンタル屋のカルトのコーナーに置いてあったのはこびとが出てくるからか。まぁそれだけじゃなくてもカルト要素はあるんですけど。ネタバレにはなりますが、ラストで特に複線もなく主人公(少年)の両親が吹き飛んで死ぬ子供向けファンタジーなんてねぇよ。
    • なんか主人公の少年が、神から世界の時間を移動できる穴の乗ってる地図をパクったこびと達と共に冒険したり窃盗したりという映画。
    • とにかく見てる間始終乗り切れず。何回か笑ったし全く面白くない事はないとは思うのだが。やっぱりモンティ・パイソン系は肌に合わないのか。教養がないとわかり辛いトコも多いしなぁ。ロビンフッドなんて名前は知ってるけど詳しく知らないっすよ。息子の頭にリンゴ乗っけてウヒョアくらいですよ、知ってるの。義賊なんつったらねずみ小僧次郎吉の方がこちとら馴染み深いっつーの。
    • テリー・ギリアムと言えば独特の映像世界がよく云々されてますけど、個人的にはエンキ・ビラルジャン=ピエール・ジュネの方が好み。ジュネはあの『アメリ』が未見ですが。つーか余り見る気にならないんですけど。。。
  • 『さよならニッポン!』1995日 監督:堤幸彦 ASIN:B00005FTF3
    • 堤幸彦っぽいなぁ。というかね、これまたつまんないワケじゃないんですけど気に食わない。余りにも左翼臭すぎる。映画全体から左翼思想がプンプンしてくるんですよ。はっぴいえんどと違ってさよならアメリカはしてないどころかおんぶだっこだしな。
    • 沖縄のそのまた端っこの方にある少数民族赤尾根古(アカオネコ)人の住む赤尾根古島がおざなりな日本政府に我慢できずそれなら独立しちまえ!という映画。
    • しかしまぁ、役場に貼られる独立死守っていうゲバ字といい最終的な自衛隊の投入といい、大学封鎖に敗れたオッサンどもがその夢を映画に託して南の島でやっちゃいました、ってな感じにしか受け取れませんよ僕ぁ。調べたら堤幸彦はその世代よりはほんの少しだけは若くてあさま山荘世代ではあるんですけど。
    • セックスシーンも本当に余分で明らかにいらない。というかサービスにもなってなくてウザいだけというのがにんともかんとも。村長(緒方拳)がユタ(巫女)的な役割の白痴の女の子を海で裸にして体を拭くシーンはいいんですけどね。これも左翼的な自然美の解放っていうのにつながってる気がするし、もうそういう目でしか見れねぇ。
    • 映画の魅力も沖縄の風土におんぶだっこしすぎだしよぅ。いや、正直言うとそういう映画は嫌いじゃないんですけどね。やっぱいいよ沖縄は。暑いのはヤだけど。
  • 『木と市長と文化会館/または七つの偶然』1992仏 監督:エリック・ロメール ASIN:B00005FBWI
    • コレは当たりでした。自分は正直な話ゴダールがどうも苦手でヌーベルヴァーグ系の監督は避けがちだったんですけど面白いっすねコレは。とは言ってもかなりの変化球ではあるのですが。
    • 政治色が強いと言うか政治そのもの、なんですけどね。地方の市長が小さな村に総合的な文化会館を建てようとして、それを巡る人々の対話で構成されてる映画。ほとんどが対話。こんなに喋る映画は他にちょっと思いつかないくらい。その主張も感傷的なエコ系で、本来ならちょっとムカっとくるとこなんですけどいやいや非常にスマートで面白い。きれいなんですねやっぱり。
    • ロメールのさわやかでやさしくて美しい映像の中で男と女が政治を語るそのエロス!政治とはかくもエロティックなものだったのか。それともフランス映画がエロなのか。
    • こんなに直で思想を語って、かつさらりと厭らしくなくて面白くするなんてなんともかんとも脱帽ですよ。特に盛り上がりも無いしドラマがあるわけでもないのに引き込まれてしまうのは、ヌーベルヴァーグの出自からしてインテリな作風に向いてるってことなんでしょうかね。
  • まぼろしの市街戦』1967仏 監督:フィリップ・ド・ブロカ ASIN:B0000CD7LK
    • コレは大当たり!いやー、面白かった。こんなにさっぱりしてるのに反戦系のブラックコメディって。しかもちゃんと笑えるし楽しいし反戦なのに暗くないし皮肉だし、たまりませんなぁ。
    • 第一次大戦中のフランスのある町、ドイツ軍は退却前にイギリス軍を罠にかけるため大量の爆薬を仕掛けて避難する町の人々と退却する。しかしその情報を入手したイギリス軍が爆弾解除のため一人の兵を派遣したがその町は精神病院から抜け出したキチガイ達が大時代的な格好をして闊歩するキチガイ達だけの町になっていた、てなお話。
    • キチガイは面白いのは言うまでもないんですが、時折見せる「こいつらは全てわかってるんじゃないのか?」っていう台詞。キチガイの町では正常人こそが異端児なのだ、という逆説も。豊かで優しくて愉快なキチガイ。戦争という狂気と気狂いという狂気の対比を全く重たくならずにサラリと笑いに変えるところがフランス映画のセンスか。いやはやこれまた脱帽ですよ。