今日はジャンルがバラバラなものを見てやろう、と。色々見ました。
んで、たけしの座頭市も見たんですが、蓮實重彦(以下ハスミン♪)の批評なんて読んだ後で書けねーよ。
そりゃ俺なんぞの感想とハスミン♪の批評を比べるなんておこがましいですが、基準は上に求めた方がいいよね!?
テイウカ現在日本で最高クラスの批評家を基準にしたら何も書けないから忘れる事にする。

  • 千と千尋の神隠し』2001日 監督:宮崎駿 ASIN:B00005S8LI
    • あちこちで賛否両論分かれる千と千尋。以前見たときはグダグダしながら見たので、きちんと見たのは今回が初めてです。
    • さて、結論から言うと面白いですねやっぱり。別にジブリ信者と言うわけではないんですが、毎作毎作ここまできっちり面白くするのは凄いと思うんです。
    • それにしてもわかり易い成長譚でありました。魔女の宅急便の次くらいにわかり易い成長譚。
    • しかし『もののけ姫』と『千と千尋』はモチーフの安売りというか詰め込みすぎというか、言ってみれば「お前ら深読みしやがれホレホレ」的な雰囲気がものごっついするんですよね。湯屋で働く女性でメシも出すとなれば所謂飯盛女のような「春を鬻ぐ」といった行為が連想される訳でして、それ以上にカミの世話をする者という巫女的な性格を持つとなればもう、その連想は確固たる物として頭から離れなくなってしまうわけで。とか思ってたらその事はアチコチで言及されてるようで、そりゃみんなそう考えるわなぁ、てなもんです。それだけじゃなくて例えば「その世界の物を食べないと消えてしまう」なんてのもヨモツヘグイを連想させますし、湯屋の客のお札みたいなのを顔に張った橙色の平安風の衣装のの連中は追儺のときの面だなぁとか、挙げればキリがない。
    • しまいには銭婆の家は近世ヨーロッパ風で、しかも城塞の中にない森の一軒家となればモチーフの濫用と罵られても仕方ないのではないか、なんて思うわけですが。あとはデブがコーラ飲んでドーナツ食ってりゃアジアヨーロッパアメリカ三大陸制覇だねヒャッハーとか。
    • クサレ神のシークエンスとかは露骨な文明批判で少しウンザリ。しかし文明批判と言えば、宮崎映画の魅力の一つとして「心地よいノスタルジー」と言うのが挙げられると思うのですが、『となりのトトロ』の昭和30年代風ド田舎にしろ『紅の豚』の大戦前のアドリア海にしろ『天空の城ラピュタ』のヨーロッパがモチーフの架空の世界にしろ、そういう世界を体験してないはずの我々がある種の懐かしさを感じるのか。トトロに関しては日本なので、日本人のイメージする原風景と言ったものに忠実でありうるという説明も成り立つわけなんですが、しかしその「原風景」というものはどこにも存在しないと言う点に関して紅の豚でもラピュタでも全く同じレベルであると。宮崎映画を見るとノスタルジーの正体とは一体なんなのか考えさせられます。そういやもののけ姫に関してはそういう感情が湧かなかったんですがね。
    • いつにも増して文章が支離滅裂。
  • 座頭市』2003日 監督:北野武 ASIN:B0000A9D4A
    • さてさて、ハスミンの面白くて興味深い批評読んじゃったから書く事ねぇなぁ。まぁでもハスミンを引用*1しつつ少しばかり書いてみる。
    • たけし本人も言うようにコレは勝新座頭市とは確かに別物である。ネタバレになるから言わないようなことも含めて確かに別物なのではあるけれども、どうしても比較を避けられない部分があるのです。それは、北野版座頭市の映画予告の惹句に「比類なきカタルシス」とあったように座頭市にはどうしても悪人をバッサバッサ斬り倒す「強さ」が求められて居るのは明らかだと思うんです。そこでハスミンは

ET=市*2の強さはもっぱら音響から来ている。(略)ぶっきらぼうビートたけしは、勝新のように、見えないはずの目を無理やり上目遣いにして仕込み杖を抱え込み、慇懃無礼な口調で危険な自分から遠ざかれと説いたりはしない。乾いた音を響かせながら鉈で木の切り株を割り、それを放り投げて壁沿いに薪の束をうずたかく並べてしまうような呆気なさで、彼は群がる敵を倒すここでの殺陣は、視覚的である以上に音響的であり畑を耕す村人までが振りおろす鍬の乾いた音で道行く市を歓迎している。

    • さすがハスミン、鋭すぎます。そう、たけしの市はあっけなく敵を倒してしまうが故に、自分には圧倒的強さと言う物を感じ取れる事が出来なかったのであって、勝新の動きと重量感のある殺陣の方がどうしても強そうに見えてしまう。たけしの市が音響的であるのに対し、動的な殺陣は浅野忠信演じる浪人が担っているのだけれども、浅野の方が強そうに見えてしまうのです。
    • 話は変わって座頭市が金髪でタップでもいいじゃないか。のタップですが、本編中から鍬の音・泥田タップ・大工の音なんかがリズムを刻んでいてそれがラストのタップに繋がっていくのだけれども、このタップはヤハリ楽しかったとしか言い様がない。お見事!てなモンです。ストイックで芸術的な映画もいいけれども、見世物としての歌と踊りというのは純粋に脳汁が出るほど楽しいです。しかも狸御殿映画、特に『歌ふ狸御殿』*3に非常に似た感じを覚えたのですが気のせいだったのでしょうか。
    • でも和風タップとか前フリ無しでニンジャが出てくる所とか外国ウケ狙ってたんじゃねぇかなぁって気がしないでもない。あとは禅マインド出せばohファンタスティックオリエント!みたいな。
      • 全く関係ないですが鈴木清順が今狸御殿映画作ってるみたいですね。楽しみ。公開前に死んじゃわなきゃいいけど(笑)

まずい眠い。あと二本あるのに。そちらは適当に済ませます。

  • スターシップトゥルーパーズ』1997米 監督:ポール・バーホーベン ASIN:B0001LNNBG
    • 人体がバラバラになったりデカい虫がバラバラになったりするSF
    • 正直、序盤はなんかハイスクールでネーチャンとイチャイチャしてどうのこうの、とかで「あぁ、またタリー映画か」なんて思ってたんですが軍隊に入ったあたりからいきなりhotになってきました。新兵訓練の様子はやはりフルメタルジャケットに遠く及ばないですが、それでも充分戦争映画ノリは楽しめます。恐怖にかられて虫を撃ちまくった末にバラバラにされるとか、デフォルメされててダディクール
    • でも甲虫系はいいんですが、個人的にイモ虫系は体が拒否反応起こすので「おぶdうhgfだお」ってなりました。
    • 要約するとバラバラ映画
  • シャレード』1963米 監督:スタンリー・ドーネン ASIN:B00005OLP7
    • オードリー・ヘプバーンもののロマンススリラー。偉大なる凡作。
    • 正直な話ロマンスの部分はつまんないです、セリフも特に洒落てるわけで無し。ただオードリーのコート姿は物凄く洒落ててかわいいですが。
    • 秘密の多い夫は、実は悪者で25万ドルをどこかに隠して殺されちゃいました、ウヒャー。夫の昔の仲間が25万ドル目当てに襲ってくるよ!お楽しみに!と言う映画。
    • 半分退屈しながら見てたんですが、高所でのアクションシーンでは結構手に汗握ってしまったし、実はプロットは二転三転でよくできてるしで結構いい映画かもしれないんですけどね。問題は演出の古臭さ。その古臭さが自分好みの古臭さではなかった、という点に尽きるんじゃないでしょうか。あ、あとギャグがすごい寒かった。
    • あと超廉価版のDVD*4で買ったので、リマスタリングされてなくて映像は結構汚いし、字幕も結構いい加減*5なのも原因の一つかもしれない。
    • OPとラスト近くの音楽は最高でした。と思ったらヘンリー・マンシーニ。やはりさすがマンシーニ。そのためだけでも見てよかった。