katanga2004-04-11

昨日のサーバー移転騒ぎも無事終息したようで何よりである。

今日は朝6時前に目が覚めてしまったのだけれど、ごはんを作っている時以外はずっとゴロゴロして本を読んでいた。
時計の針が一周する頃になって、これではいけないと思いつつ散歩がてら近所の本屋に出かけた。
外の光は目の奥のほうの幕に褪色した虚像を結んでいるように感じるし、
どこからか聞こえてくる子供の遊ぶ声も耳に薄いフィルターが掛かったように聞こえてくる。
現実感が圧倒的に欠如しているのである。
この季節はいつも具合が悪い。この中途半端に暖かい気候が僕の感覚を内へ内へと向かわせるようだ。
タバコの自販機で立ち止まって、1mgのタバコを買っていると少し風が強くなって軽く身震いした。
 
家は佛教大学から徒歩3分のところにあるので、日曜日と言っても学生さんが沢山歩いている。
自分の学校まではチャリンコで10分強かかるのだが、なんといっても家賃が安いのである。無職はお金がないので致し方ない。
学生さん達のパリっとした格好に混じってグダグダな格好の僕も同じ方向に歩く。近所の本屋に行くだけで盛装をするほどもう若くはないのだと思うと少し寂しくなった。
交差点で信号待ちをしていたら浅黄の西日が横ッ面を弱々しく叩いてきた。
21世紀になったというのに、なんでこんなにノスタルジックな色をしてやがるんだ畜生。
21世紀の夕日はもっとケミカルな色で科学と未来と進歩の色をしていなければならないはずだ。
畜生。畜生。
隣で信号待ちをしているオンナノコの二人連れはなんで半袖なんだ。
春か、春を先取りか。畜生。それともとっくに春なのか。畜生。
桜ももう散るのか。畜生。畜生。
なんて考えていたら目が合ってしまったので僕は気まずくて視線を逸らした。
 
本屋では小説を2冊ほど買おうと思っていたのに、最近の読書傾向からやはり学問系のを2冊買ってしまう。小説も一冊買った。
しかし気付かない間に文庫の値段も上がっている。文庫で7・800円代が普通なんて絶対おかしいと思うんだ畜生。
憤ってみたもののどうしようもないし、外に出たら日が落ちていたので落ち着いてスーパーにでも寄る事にする。
鮭とホウレンソウが安かったので買って、あとは卵とごま油が切れていたのでそれも買った。
明らかなヤンキーねぇちゃんがレジを打っていたのだが、滑舌が悪い。悪すぎる。
むしろ滑舌の性ではなくて喋る気がまるでないようだった。
「いあっしゃいあっせー」は全然かまわない。そういうやる気のなさは非常に理解できる。
しかし「1168円になり…」はさすがに引っかかった。「ます」はどこへ行ったのだ「ます」は。
言うなら最後まで言おうぜ。と思いつつ釈然としない気持ちで足早に家路に着く。
住宅地に差し掛かったところで小学校中学年くらいの女の子が3人はしゃぎながら前を歩いていたのを見て、自然に足取りが緩くなった。
家へ帰ってみると卵が二個割れていた。